コミュニティマーケティングとは?成功事例やメリット・デメリット
企業やブランドに共感する顧客のコミュニティを作り、そのコミュニティで得た情報をマーケティングに活かす手法を「コミュニティマーケティング」と呼びます。企業が発信する情報よりも、消費者の声のほうが重視されている昨今の状況において、コミュニティマーケティングは注目を集めてます。一方で、いざ自社で取り組もうと思っても具体的にどのように進めれば良いのかが分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事ではコミュニティマーケティングの概要や事例、導入方法をご紹介いたします。
目次[非表示]
- 1.コミュニティマーケティングとは
- 1.1.基本概念
- 1.2.他のマーケティング手法との違い
- 1.3.コミュニティマーケティングが今、注目されている理由
- 2.コミュニティマーケティング導入のメリット
- 2.1.熱狂的なファンが増える
- 2.2.UGC(口コミ)による新しい顧客が増える
- 2.3.ファンからのフィードバックによる商品企画やマーケティング施策の効率化
- 2.4.コミュニティ内コンテンツと交流で集客や再来訪を促進
- 3.コミュニティマーケティング導入のデメリット・課題
- 3.1.成果が出るまでに時間がかかる
- 3.2.コミュニティマネージャーへの属人性が高い
- 4.コミュニティマーケティングの成功事例
- 4.1.JAWS-UG(AWS User Group – Japan)
- 4.2.ヤッホーブルーイング
- 4.3.LEGO Ideas
- 5.コミュニティマーケティングが学習できる本
- 6.コミュニティマーケティングの導入手順
- 6.1.ステップ1:コミュニティの構築
- 6.2.ステップ2:コミュニティマーケティングの基盤整備
- 6.3.ステップ3:運営と改善
- 7.コミュニティマーケティングを円滑に進めるためのサービスやツール
- 8.まとめ
コミュニティマーケティングとは
コミュニティマーケティングとは、企業やブランドが顧客やユーザーと長期的な関係を構築するために、共通の価値観や趣味、趣向を持つ人々の集まり(コミュニティ)を形成し、コミュニティを活用するマーケティング活動の手法です。コミュニティマーケティングの目的として、顧客との深いエンゲージメントや信頼を築き、ブランドのロイヤリティや口コミ効果を高めることが挙げられます。
基本概念
コミュニティマーケティングは、ブランドや企業が共通の価値観や興味を持つ顧客の集まり(コミュニティ)を形成し、長期的な信頼関係を構築するマーケティング手法です。この手法では、ユーザー間の交流や共創を促進し、ユーザーが主体的に関与できる場を提供することを重視します。
従来の一方向型の広告と異なり、双方向のコミュニケーションを通じて生まれたユーザーのフィードバックを商品企画や改善に活用することが可能であり、またユーザー同士が口コミやUGC(ユーザー生成コンテンツ)を発信することで、ブランド認知や信頼性が向上します。このように、ユーザーとの深いエンゲージメントを実現することで、ブランドロイヤリティを強化し、競合との差別化を図ることができます。
他のマーケティング手法との違い
コミュニティマーケティングと他のマーケティングの主な違いは、コミュニケーションの内容とユーザーの役割といった点にあります。
従来のマーケティング手法は、企業からユーザーへの一方向の情報提供や広告が中心ですが、コミュニティマーケティングは双方向のコミュニケーションを重視します。ユーザーが主体となり、ブランドに対するフィードバックを積極的に行うことが特徴です。
これにより、ブランドはユーザーのニーズに迅速に対応でき、商品開発や改善に役立てられます。
また、ユーザー同士が情報を共有することで、ブランドに対する信頼感が高まり、ロイヤルティが向上します。
また、従来のマーケティングにおいてユーザーは「受け手」としての役割が中心です。商品やサービスを利用するだけで、企業の活動に積極的に参加することはほとんどありません。反対に、コミュニティマーケティングでは、ユーザーは「参加者」や「共創者」としての役割を持ちます。コミュニティへの活動を通してブランドの改善・提案やUGCの生成を通じて、商品の発展やマーケティングに貢献します。
コミュニティマーケティングが今、注目されている理由
現代のビジネス環境では、コミュニティマーケティングが新たなマーケティング手法として注目されています。
以下の項目で、これらの背景について詳しく解説していきます。
1.消費者の価値観の変化
2.口コミの影響力の増大
3.ブランドロイヤルティの重要性
4.競合との差別化
1.消費者の価値観の変化
SNSやネットの発達により、ユーザーはさまざまな場所から情報を得られるようになり、ネットが登場する以前よりユーザーの趣向や好みは細分化しています。そのため、細分化した思想や好みに応じたコミュニティを作るような形にしないと、従来のマーケティングが難しい状態となっております。
2.口コミの影響力の増大
口コミはユーザーの購買決定に大きな影響を与えます。現代のユーザーは、企業側が発信する情報よりも、商品を購入したユーザーによる口コミやレビューを信頼します。
3.ブランドロイヤルティの重要性
現代のような複数の商品やサービスから簡単に乗り換えられる時代では、ユーザーとの長期的な関係構築が必要です。単なる商品の提供者ではなく、共感を持てる存在として認識されることが重要となります。
4.競合との差別化
商品やサービスそのものだけで差別化が難しい市場では、ユーザーとの深いつながりが競争力の源泉となります。コミュニティを通じて特別な体験を提供することで、他社との差別化を図ることができます。
コミュニティマーケティング導入のメリット
コミュニティマーケティングを導入することで、ユーザーとの深い関係性を構築できることから、多くのメリットがあります。
以下に、その具体的なメリットを解説します。
熱狂的なファンが増える
コミュニティ内でユーザーがブランドや他のユーザーとつながることで、ブランドへの愛着が深まります。そうして愛着が深まったユーザーはそのブランドの熱狂的なファンとなるため、同じ商品をリピートして購入をしてくれたり、コミュニティ内の他のユーザーに商品をおすすめしてくれます。
また、熱狂的なファンは自ら能動的にブランドの発信する情報を取得しにいくため、販促費がかからないためコスト削減につながるといったメリットもあります。
UGC(口コミ)による新しい顧客が増える
UGCとは、User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略で、企業側ではなくユーザーによって制作・発信されるコンテンツを指します。
身近な例としては、各種SNSにアップされたレビュー投稿やECサイトの商品レビューなどが挙げられます。
現代のユーザーは企業が発信する広告よりも、同じユーザーのレビューや口コミを信頼する傾向が強くなっているため、近年UGCの重要性が高まっています。そこで、ユーザーが体験や意見を共有できるコミュニティがあることで、企業が意図せずともUGCの生成を促進できます。
ファンからのフィードバックによる商品企画やマーケティング施策の効率化
コミュニティでは、顧客からの直接的なフィードバックを通じて商品力を向上させることが可能です。顧客の声を製品開発や改善に反映させることで、より魅力的な商品を提供できるようになります。
例えば、コミュニティ内での意見交換やレビューは、新製品のアイデアや改良点を見つけるための貴重な情報源です。
さらに、コミュニティ内で新商品などのテストマーケティングを行うことで、製品の反応を迅速に把握し、必要に応じて修正を行えます。これにより、商品が市場に投入される前に品質や機能の改善が可能となり、ユーザー満足度の向上につながります。
また、コミュニティ内のユーザーの投稿や発言を広告クリエイティブのUGCとして活用することで、CVRの向上を促すことができます。
コミュニティ内コンテンツと交流で集客や再来訪を促進
コミュニティ内のコンテンツやユーザー同士の交流によって、再度ECサイトへの集客やコミュニティへの再来訪を促進できます。
再来訪率が高いコミュニティは、ユーザー同士のつながりが強化され、よりブランドへの愛着やUGCの生成が促進されるため、最終的に売上の増加につながります。
また、ユーザーが再来訪して活発なコミュニケーションをすることで新しいユーザーを引き込みやすくなり、よりコミュニティの規模を広げることができます。
さらに、コミュニティから自社のECサイト等への導線づくりをすることで、広告費をかけずにサイトへの集客をできるというメリットもあります。
コミュニティマーケティング導入のデメリット・課題
さまざまなメリットを持つコミュニティマーケティングですが、一方でデメリットや課題も存在します。それらを事前に理解することで、リスクを最小化しつつ効果的なコミュニティ運営が可能になります。
以下に、その具体的なデメリットを解説します。
成果が出るまでに時間がかかる
コミュニティマーケティングは長期的なユーザーとの関係構築を目指すため、すぐに売上に直結するなど具体的な成果が出にくいことがデメリットとして挙げられます。
一般的な広告であれば、広告出稿と同時に売上が立つこともありますが、コミュニティマーケティングではユーザーへ徐々に企業やブランドに対するロイヤルティを醸成することが必要となるため、成果が出るには中長期的な見通しを立てておく必要があります。
そのため、コミュニティマーケティングを実施する段階で事前に中長期的な事業計画を立てて社内合意を行っておくことが大切になります。
コミュニティマネージャーへの属人性が高い
コミュニティ運営には、コンテンツの提供、ユーザーとのコミュニケーション、フィードバック対応、また企業によってはSNSの運用など従来のマーケティングとは別のスキルが必要となるため、運営側が属人的なチーム体制になってしまうリスクがあります。
そのため、担当者の急な不在や退職時による引き継ぎがしっかりされていないことで、コミュニティを円滑に運営することができない恐れが発生する場合があります。
そのため、普段からコミュニティ運営におけるマニュアルやTips等をマニュアル化して、属人的な対応にならないように意識することが重要となります。
コミュニティマーケティングの成功事例
コミュニティマーケティングは比較的新しいマーケティングの手法ですが、いち早くその手法を取り入れ成功している企業やブランドがあります。どのようにコミュニティを構築したのか、コミュニティを持続させるためにはどのような方法が必要なのかなどをチェックすることで、自社のコミュニティ構築に活かせるようになります。
ここでは代表的な成功事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
JAWS-UG(AWS User Group – Japan)
JAWS-UGとは、AWS (Amazon ウェブServices) が提供するクラウドコンピューティングを利用する人々の集まり(コミュニティ)です。一人ではできない学びや交流を目的としており、積極的な勉強会の開催や交流イベントなどを行っています。
コミュニティにはエンジニアが比較的多く参加しておりますが、営業やPMといったユーザーも参加しており、業界・業種にとらわれないさまざまなユーザーが参加しています。
また、JAWS-UGでは、1年間のコミュニティ活動において、ユーザーの成長やAWSクラウドの普及に大きく影響を与えたユーザーを投票するAWS Samuraiという制度を設けて、コミュニティ内のユーザーのエンゲージメントを高める活動を積極的に行っています。
ヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイングはよなよなエールをはじめとしたクラフトビールを製造する株式会社ヤッホーブルーイングが提供するコミュニティです。
同社では企業とファンのコミュニケーションを大事にし、積極的にコミュニティメンバーとの交流イベントを開催してます。例えば、クラフトビールを楽しみながら、自然豊かな場所で楽しめるアクティビティイベントやライブステージなどを楽しめるイベントを定期的に開催していたり、クラフトビールの製造工程がわかる醸造所の見学ツアーを定期的に開催するなど、ユーザーとの交流イベントに力を入れています。
LEGO Ideas
LEGO IdeasはLEGOブロックをはじめとしたおもちゃブランドを提供しているLEGOが運営しているオンラインプラットフォームです。
LEGO Ideasでは世界中のLEGOファンがLEGOで作ったアイデアを自由に投稿でき、そこでユーザーからの支持票を一定数集めるとそのアイデアが製品化され、LEGOアイデアシリーズから発売されるといった、運営とユーザーのコミュニティです。
さらに、製品化された商品はそれの売上に応じた報酬が投稿したユーザー側に支払われるといったコミュニティユーザーへしっかり還元を行うといった取り組みも行われております。
LEGOのファンを商品施策やマーケティング施策に応用したファンマーケティングの成功例の一つと言えるでしょう。
コミュニティマーケティングが学習できる本
ここではコミュニティマーケティングを学ぶのにオススメの書籍を紹介します。
ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング
こちらは上述したAmazonによるコミュニティJAWS-UGの発足者による、そのコミュニティ運営のノウハウを綴った書籍で、自身の実体験に基づくノウハウとともに、コミュニティマーケティングについて基本から学べる一冊です。
またコミュニティマーケティングの基本だけにとどまらず、様々な施策のケーススタディもあるため、これからコミュニティマーケティングを実施しようとしている方にも勉強になる内容が詰まっている内容になっています。
ファンベース──支持され、愛され、長く売れ続けるために
こちらはコミュニティマーケティングの前段に当たる、そもそも企業やブランドにおけるファンとは何なのか?といったファン目線でのファンマーケティングから解説し、そこから実際にファンをどのようにして生み出し関係を構築していくのか?という流れで解説をしているため、初心者の方にも理解しやすい内容になっている一冊です。
コミュニティマーケティングの導入手順
コミュニティコマースを成功させるためには、段階的なアプローチが必要です。
以下の手順に従って、効果的にコミュニティコマースを導入できます。
ステップ1:コミュニティの構築
ステップ2:コミュニティコマースの基盤整備
ステップ3:運営と改善
それぞれ詳しく解説していきます。
ステップ1:コミュニティの構築
まずはコミュニティを構築することが必要不可欠です。顧客が交流し、情報を共有したり、お互いにコミュニケーションを取れる場を提供することで信頼関係を築けます。
また、SNSやオンラインフォーラムを活用し、顧客同士のコミュニケーションを促進しましょう。
コミュニティ構築の初期段階では、ブランドのビジョンや価値観に共感するメンバーを集めることが重要です。
ブランドロイヤリティが高いメンバーを集められれば、コミュニティの基盤が強固になります。
初期メンバーが積極的に活動することで、新しいメンバーの参加意欲も高まるでしょう。
さらに、ユーザーが気軽にコミュニティへ参加できるよう、簡単な登録プロセスを整えることも必要です。定期的なイベントやキャンペーンを通じて、コミュニティの活性化を図ることも効果的です。
こうすることで、顧客同士が積極的に交流し、ブランドに対する愛着心が育まれます。
ステップ2:コミュニティマーケティングの基盤整備
次に、コミュニティコマースの基盤を整備していきます。そのために適切なプラットフォームを選定し、使いやすいインターフェースと豊富な機能を提供することが重要です。
基盤整備の一環として、コミュニティガイドラインを設定し、メンバーが安心して活動できる環境を整えます。ガイドラインは、コミュニティのルールやマナーを明確に示し、コミュニティに参加しているユーザーが気持ちよくコミュニケーションを取れるようにするだけでなく、トラブルの発生を未然に防ぐために重要です。
また、運営側はプラットフォームのセキュリティ対策も徹底し、顧客の個人情報を守ることが求められます。
さらに、顧客からのフィードバックを収集し、プラットフォームの改善を継続的に行うことも重要です。これにより、顧客の満足度を高め、長期的な利用を促進できます。
また、顧客サポートの体制を整え、迅速に対応できるようにすることも必要なプロセスの1つです
ステップ3:運営と改善
最後に、コミュニティの運営と継続的な改善が必要です。
メンバーの意見やフィードバックを積極的に取り入れ、コミュニティの質を向上させます。
また、定期的なイベントやキャンペーンを開催し、メンバーのエンゲージメントを高めることが重要です。
運営においては、専任のコミュニティマネージャーを配置し、メンバーとのコミュニケーションを円滑に行いましょう。コミュニティマネージャーは、メンバーの意見を聴き、トラブルの早期発見と解決に努める役割を果たします。
さらに、データ分析を通じてコミュニティの活動状況を把握し、効果的な戦略を立てることが求められます。
また、コミュニティの成長に伴い、適宜ルールや方針を見直すことも重要です。
こういった定期的なルールの見直しは、コミュニティの健全な運営を維持し、メンバーの満足度を高めることへと繋がります。
定期的なフィードバックセッションを通じて、メンバーの声を反映させ、より良いコミュニティ作りを目指しましょう。
コミュニティマーケティングを円滑に進めるためのサービスやツール
ユーザーとの長期的な関係構築から企業の売上を最大化するコミュニティマーケティングにおいて、コミュニティをどう構築するか?は非常に重要なポイントになります。ですが、まず何から手をつけるべきか?がわからないといった企業は少なくありません。
TieUpsでは顧客の応援で売上を伸ばすコミュニティ支援を立ち上げから実行まで一気通貫で伴走支援いたします。以下のようなお悩みを抱えている方は一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。
・既存のマーケティング手法の限界をむかえている
・新しい売上向上の手段がないか模索中
・ユーザーとの接点が少なく、ユーザーの本音を拾えていない
・競合にユーザーを取られている
・企業やブランドのファンをもっと増やしたい
まとめ
コミュニティマーケティングは、共通の価値観を持つ顧客コミュニティを活用し、ブランドロイヤルティや口コミ効果を高めるマーケティング手法です。
一方向型の従来型手法と異なり、双方向の対話を重視し、顧客参加型の施策が特徴で、現代では消費者価値観の多様化や口コミの影響力増大を背景に、ブランドと顧客の深いつながりが競争力の源泉となり注目されています。
これらを実現するためには、コミュニティの構築から運営までを段階的に進めることが重要です。
成果に直結するコミュニティプラットフォーム『TieUps(タイアップス)』を活用すれば、顧客のエンゲージメントを高め、長期的な成長を目指せます。
未来を見据えた取り組みとして、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。