LTVとSaaSの関係性とは?SaaSビジネスで成功する方法なども紹介!
LTVと密接な関係にあるSaaSは世界的に注目されていて、多くの企業がSaaSビジネスをスタートさせています。
しかしSaaSビジネスを始めたものの、「全く軌道に乗れない」「サービスとして利用者が少ない」など様々な悩みを抱えると思います。
LTVやSaasは、カスタマーサクセスを実施している企業・事業で主に使われており、自社のサービス・製品をより最適な形で顧客に提供し、売上や顧客満足度を向上させています。
そこで当記事では、LTVとSaaSの関係性やSaaSビジネスで成功する方法やLTV(顧客生涯価値)の計算方法などを紹介します。
目次[非表示]
- 1.LTVの定義・意味について
- 2.LTVが重要視される理由
- 2.1.理由①新規顧客獲得が困難になったから
- 2.2.理由②BtoBなどのサブスク型ビジネスモデルにてLTVの指標で管理できる
- 2.3.理由③ユーザーの嗜好に応じたOne to Oneマーケティングに移行したから
- 3.SaaSとは?
- 4.SaaSの特徴は?
- 5.SaaSビジネスで重要な指標とは?
- 6.SaaSビジネスで成功するための方法とは?
- 6.1.方法①LTVをCACの3倍以上にする
- 6.2.方法②CACの回収期間は12か月以内を目標にする
- 6.3.方法③Churn Rate(チャーンレート/解約率)は3%未満を目標にする
- 6.4.方法④既存顧客に対する売り伸ばし施策を進める
- 7.まとめ
LTVの定義・意味について
LTVとは、「Life Time Value」の略で、日本語では『顧客生涯価値』のことを指します。
意味としては、顧客から企業に対して生涯を通じて得られる利益のことです。
LTVやMAは、主にBtoB・BtoCなどのWebで完結するサブスクリプション型の事業モデル(デジタルマーケティング)に多く導入されており、顧客に関する情報・資料を適切に管理し新規の契約や顧客との関係性を改善することで、顧客満足度を高く維持でき、製品の価値を高め利益につながる施策を立てられます。
また、「製品・サービスの単価を上げる」「上位の製品・サービスへの移行を促す(アップセル)」「関連する製品・サービスの購入、セットパッケージの購入を促す(クロスセル)」などもあります。
そのためLTVは、現代に合ったマーケティング戦略を進めていくための重要な指標となっています。
企業がLTVを向上させる狙い
企業がLTVを向上させ、自社商品・サービスの『ファン』になることで継続して安定利益を得ることができ、ファンがSNSや口コミなどで商品を広め結果的に新規顧客獲得も見込めるという狙いがあります。
LTVが重要視される理由
ここまで「LTVとは何か」「LTVが高い企業の特徴」などを解説してきましたが、「そもそも何でLTVが使われるようになったの?」と気になる方がいるのではないでしょうか。
近年、LTVが重要視されるようになった背景には、『市場の飽和』が大きく関係し、費用を抑えて効率的に収益を上げることや既存顧客との良好な関係を築くことを重視しています。
そこでここからは、LTVが重要視されるようになった背景を見ていきましょう。
理由①新規顧客獲得が困難になったから
LTVが重要視されるようになった理由の1つ目としては、新規顧客獲得が難しくなったからという理由があります。
従来までは、供給量に比べて需要が圧倒的に多かったため、新規顧客獲得を開拓することによって収益の拡大を目指すやり方が普通でした。
しかし、現代は「日本国内の人口減少」が原因で新規顧客獲得は困難になりました。
さらに、スマートフォンやタブレットの普及により誰でもインターネット上で情報収集ができるので、情報の多様化が見られたことで以前よりも新規顧客獲得どころか既存顧客の維持も大変になりました。
このことから多くの企業は、既存顧客と良好な関係性を構築させることさえできれば「リピート購入」「周囲への紹介」により顧客拡大が期待できると考えるようになりました。
既存顧客を成長させるPoint
新規顧客獲得よりも既存顧客を維持して成長させる方がコストがかかりません。既存顧客を維持して売り上げを向上させるためには『カスタマーサービス』『定期的なヒアリング』が重要です。
理由②BtoBなどのサブスク型ビジネスモデルにてLTVの指標で管理できる
顧客が必要なプランに応じて定期的に料金を支払ってサービスを利用する『サブスクリプション型ビジネスモデル』が今注目され、多くのサービスで利用されています。
このようなサブスクリプション、通称「サブスク」において、顧客単価を売り上げではなく『LTV』という指標で管理しています。
企業が販売する商品やサービスにおいて、「顧客との良好で継続的な関係」が重要であることと同じように、サブスクリプション型ビジネスモデルも同様な関係が求められます。
理由③ユーザーの嗜好に応じたOne to Oneマーケティングに移行したから
従来までは、供給量に比べて需要が多かったため企業は不特定多数に向けた『マスマーケティング』というマーケティング手法を行っていました。
しかし現代では、スマートフォン・タブレットでインターネットが使えるようになったことで顧客の購買行動が変化したため、顧客の嗜好に応じた『One to Oneマーケティング』へと移行しました。
One to Oneマーケティングにおいては、顧客と1対1できめ細かなコミュニケーションを取ることが重要となり、顧客ロイヤルティの向上が必須となったこともあり、LTVも重要視されるようになりました。
また、『CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)』など顧客を一元管理し、「顧客属性」「購買行動」などを分析し顧客に最適な商品やサービスを提案・提供できるツールが発展したこともLTVが重要視されるようになった理由と言われています。
CRMとLTVの関係性
CRMツールを活用することで、顧客関係管理が行えるだけでなく顧客分析を重ねることで「顧客が今何を求めているか」分かるので、顧客満足度の向上が実現します。このように顧客に対して最適なアプローチをすることによってLTVも向上するという密接な関係があります。
SaaSとは?
SaaSとは、「Software as a Service」の略称で日本語では『サービスとしてのソフトウェア』を意味します。
具体的に説明すると、クラウド上で作られたアプリケーション・サービスをインターネットを通じて利用する形態のことを指します。
SaaSの例として一番分かりやすいのが、Google社が提供する『Gmail(ジーメール)』です。
Gmailは、Google社のクラウド上に構築されたメール用のアプリケーションをインターネットを通じて一般人やビジネス向けに公開し、多くの人が利用しています。
また、Gmail以外にもSaaSは皆さんが普段から利用している身近なアプリケーション・サービスでも活用されています。
Google社が提供する「Googleマップ」、Yahoo!が提供する「Yahoo!天気」から、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社が提供する「パズル&ドラゴンズ」などのスマホゲームもSaaSの一種と言えます。
このようにSaaSは我々の身近にある言葉なので、ビジネスを行う上で覚えておかなければいけない言葉と言えるでしょう。
SaaSの特徴は?
SaaSとはどういう意味なのかを解説してきましたが、「SaaSの意味は理解できたけど、どんな特徴があるの?」「SaaSを導入する意味はあるの?」と疑問に思う方がいるかもしれません。
そこでここからは、SaaSの特徴について詳しく解説していきます。
SaaSは主に以下3つの特徴があるので、今後SaaSの導入を考えている方は参考にしてほしいと思います。
特徴①ネット環境があればいつでも誰でも利用できる
SaaSの1つ目の特徴としては、インターネットがつながっていればいつでも誰でも利用できることです。
スマートフォンやタブレット、PCなどの端末がインターネットに接続されれば場所を選ばず誰でもアクセス可能なことから、ソフトウェアサービスをより身近に感じることができます。
また、最近ではFacebookやTwitter・Googleアカウントを所有していれば誰でも簡単に『アカウント連携』ができるサービスが多く、面倒なアカウント開設が必要なく即座にサービスを利用できるという特徴もあります。
SaaSが活用される理由
現代では、基本的にどこでもWi-Fi接続できることからSaaSの需要が高まっています。持ち運びができるWi-Fiに加えて、「新幹線」「カフェ」「飲食店」など移動中も移動先でも高品質なインターネット通信が可能になりました。また、クラウドにアクセスできれば海外でも日本にいる時と同じようなサービスを受けられるので、SaaSは今広く活用されています。
特徴②利用した分だけお金が発生する
SaaSの2つ目の特徴としては、サービスを利用した分だけお金が発生するのでコストを抑えることができるということが挙げられます。
SaaSの代表的な料金形態の1つに『サブスクリプション』がありますが、聞いたことがある方や利用しているという方がいるのではないでしょうか?
SaaSの料金は「秒単位」「年単位」など様々な形態がありますが、ソフトウェアを利用するためにわざわざパッケージソフトを購入する必要がないので、大幅にコストを抑えてサービスを利用できるというメリットがあります。
またSaaSでは、コストを抑えるために「人件費」「外注費」をかける必要がないというメリットもあり、サービスによっては無料で利用できるものも多いため、コストを1円もかけずに利用できるケースもあります。
SaaS利用料金のPoint
SaaSは利用コストをかなり抑えることができるので、「プラットフォームの開発」や「カスタマイズ」など他のことにコストをかけることができます。
特徴③インターネットを通して複数の人とシェアできる
SaaSの3つ目の特徴として、インターネットを通して複数人とデータやアプリケーションをシェアできるということが挙げられます。
仕事・プライベートでデータを共有する時、『Googleドライブ』を利用してファイルに写真や動画などのデータをアップしたことがあるという経験はないでしょうか?
Googleドライブで共有したデータは、自分専用のデータベースが用意されているわけではなく、インターネットを通してGoogle社のデータベースにシェアされているのです。
自分専用のデータベースに保存されているわけではないため、複数人とシェアしても『デバイスのデータ容量を圧迫しない』というメリットがあります。
Googleドライブについて
Googleドライブは、Google社のデータベースに利用者の情報が集約されていて、権限といった『鍵』を他者と共有することで第三者に情報を盗まれることなくデータを確認できます。SaaSは基本的にデバイスのストレージを気にしなくていいのですが、Googleドライブはプランによって保存容量が決められているので注意が必要です。
SaaSビジネスで重要な指標とは?
ここからは、SaaSビジネスで重要な指標をご紹介します。
以下より紹介するSaaSビジネスに必要な指標は、とても重要なので覚えておいてほしいと思います。
LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)
SaaSビジネスで重要な指標の1つに、LTVがあります。
LTVとは、「Life Time Value」の略称で、日本語では『顧客生涯価値』のことを指します。顧客が生涯をかけて企業にもたらしてくれる利益のことを意味します。
顧客満足度を向上させることで、LTVが向上し顧客が長期的にサービスを利用することで自社商品やサービスの売り上げアップが見込めます。
また、LTVは以下の計算式を用いて表せます。
LTV=平均購入単価×平均購入頻度(年間)×粗利益率/チャーンレート(年間)
実際に計算式を用いた例をご紹介します。
・単価1000円の商品を月1回購入
・粗利:60%
・年間チャーンレート:5%
LTV=平均購入単価(1,000円)×平均購入頻度(12回)×粗利益率(60%)/チャーンレート(5%)=144,000円
上記の計算式と例を参考にすれば、LTVを求めることができます。
計算例を見て分かる通り、LTVを高めるためには『購入単価を上げる』『購入頻度を増やす』『解約率を下げる』など様々な施策を行うことが効果的です。
反対に、他の指標が下がればLTVは減少し売り上げも低下するので、どの指標も向上させることを目標にSaaSビジネスに取り組むことが重要と言えます。
CAC(Customer Acquisition Cost/顧客獲得単価)
SaaSビジネスで重要な指標の2つ目に、CACがあります。
CACとは、「Customer Acquisition Cost」の略称で日本語では『顧客獲得単価』のことを指します。1人の顧客を獲得するために要したコストを意味します。
CACの説明にある「コスト」とは具体的に、『広告宣伝費』『マーケティング費用』『営業の人件費』などのことを指します。
また、CACもLTV同様に以下計算式で求めることができます。
LTV=(営業人件費+広告宣伝費orマーケティング費用)/新規顧客獲得数
上記計算式から分かるように、新規顧客をたくさん獲得することは重要ですが、それに対するコストが大幅にかかってしまうとCACの指標は悪化します。
そのためSaaSビジネスにおいては、「新規顧客獲得数」と「かかるコスト」のバランスを保つことが重要であると言えます。
SaaSビジネスで成功するための方法とは?
前述で、SaaSと関係性の高い2つの指標を紹介してきましたが、「具体的にSaaSをどうすれば良いのか」「SaaSビジネスで成功するための方法はあるの?」と疑問に思う方がいるはずです。
そこでここからは、『LTV』『CAC』2つの指標の目標ラインと、SaaSビジネスで成功するためのチャーンレートの目標を中心に紹介していきます。
これからSaaSを活用する方や、SaaSビジネスで成功したい方は参考にしてほしいと思います。
方法①LTVをCACの3倍以上にする
SaaSビジネスで成功するためには、LTVをCACの3倍以上にするという方法が挙げられます。
SaaSを提供する企業は、『LTV=収入』『CAC=支出』と考えるので、CACがLTVを上回ると「収入よりも支出が多くなる」ということになり、企業としての赤字を意味します。
上記からも分かるように、LTVを下回るCACで顧客を獲得する必要がありますが、その比率として「LTVをCACの3倍以上にする」という目安が立てられています。
SaaSの考えを取り入れた指標『LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)』を解説した時に使用した計算例をもとに、LTVとCACを計算した具体例を以下よりご紹介します。
・単価1000円の商品を月1回購入
・粗利:60%
・年間チャーンレート:5%
LTV=平均購入単価(1,000円)×平均購入頻度(12回)×粗利益率(60%)/チャーンレート(5%)=144,000円
CAC=LTV(144,000円)/3=48,000円
上記のように計算することで、「LTVをCACの3倍以上にする」という条件はクリアしています。
この場合は、新規顧客獲得1人にかけられる費用は『48,000円』が上限であることが分かります。
この計算方式を活用することで、新規顧客を獲得するためにどのような施策を立てれば良いかが明確になります。
方法②CACの回収期間は12か月以内を目標にする
SaaSビジネスで成功するための2つ目の方法として、CACの回収期間は『12か月以内』を目標にすることが挙げられます。
CACは早く回収するのが理想的ですが、回収期間が長くなるとそれだけ利益を生み出す時間が長くなってしまいます。
SaaSビジネスのような月額プランで回収し、長期利用を目論んだサービスは解約されてしまえば利益が「0」になってしまうので、なるべく短期間でCACを回収できるようにすることが重要です。
CAC以外にも重要なこと
LTVを向上させるためにCACを抑えることは重要ですが、その他にも『上位プランへのアップセル』『解約率を抑える』『収益率を上げる』など様々な施策があります。SaaSビジネスを展開するなら細かな指標を明確にして常にモニタリングしていることが重要です。
方法③Churn Rate(チャーンレート/解約率)は3%未満を目標にする
SaaSビジネスで成功するための3つ目の方法として、Churn Rateは3%未満を目標にすることが挙げられます。
Churn Rate(チャーンレート)とは、『解約率』を指します。サービスを利用しているユーザーのうち、解約したユーザーの割合を示す指標です。「顧客離脱率」や「退会率」などと言われることもあります。
SaaSビジネスではサービスを利用しているユーザーに継続的に利用してもらうことで利益を生み出していますが、Churn Rate(チャーンレート)すなわち解約率が高いと利益が「0」になってしまいます。
そのため、チャーンレートは3%未満に抑えることが良いとされています。
方法④既存顧客に対する売り伸ばし施策を進める
SaaSビジネスで成功するための4つ目の方法として、既存顧客に対する売り伸ばし施策を進めることが挙げられます。
SaaSビジネスをしている方の中には、すでにCACの「設定ライン」「回収期間」などが目標値よりも悪化している場合があるかもしれません。
そんな時は、既存顧客に対する売り伸ばし施策を進め、マイナスになった分を回収できる可能性があります。
売り伸ばし施策を進めるPoint
売り伸ばし施策を進め、マイナス分を改善することは重要ですが、施策にかかる『コスト』を気にしなければいけません。
まとめ
ここまで「SaaSとは何か?」「SaaSで重要な指標」「SaaSビジネスで成功するための方法」を紹介・解説してきました。
クラウド上で作られたアプリケーション・サービスをインターネットを通じて利用する形態のことを指すSaaSでは、『LTV』と『CAC』という指標が必要です。
SaaSビジネスで成功するためには、「LTVをCACの3倍以上にする」「チャーンレートを3%未満にする」など様々な目標設定があり、本記事でも詳しく紹介しています。
これからSaaSビジネスを始めたいという方は、当記事を見て「SaaSの知識」と「SaaSビジネスで成功を収めるための方法」を熟知してほしいと思います。