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(左から石出様、中澤様、弊社TieUps小原、藤田様)

【後編】 羽田空港公式コミュニティ 導入インタビュー

ー 羽田空港が“目的地”に。 ファンとの繋がりをTieUpsで育む ー

後半では、TieUpsの活用方法や、コミュニティを通じて生まれた新たなつながり、そして今後の展望について、中澤様、石出様、藤田様にインタビュー形式でお話を伺いました。

前編記事はこちら → 【前編】羽田空港公式コミュニティ 導入インタビュー


ーまず、お二方のコミュニティ運営での役割をお伺いしてもよろしいでしょうか。

石出様(以下、敬称略): 私はマーケティング戦略課の課長として、コミュニティ全体の管理を担当しています。担当者と協力しながら、会社全体におけるこのコミュニティの位置付けを考慮し、方向性を定めていく役割です。

藤田様(以下、敬称略): 私は担当者として日々の投稿管理や事務局からのご案内など、コミュニティの運営業務を中心に行っております。その中で、皆さまの投稿から着想を得てイベントを企画するのはもちろん、私たち自身も空港職員として、羽田空港をもっと好きになってもらいたいという思いからさまざまな企画を立案・実施しています。


運営における課題と工夫:コミュニティ活性化の鍵はファン目線にあり?

ー実際にコミュニティを運営していく課題として、どんな点を実感されていますか?運営上の難しさや工夫されている点についてお聞かせください。

中澤様(以下、敬称略): やはりコミュニティの「活性化」が一番難しい点だと肌で感じています。

参加してくださる方はいても、その「好き」の度合いは人それぞれですし、積極的に発言される方とそうでない方がいらっしゃいます。見るだけの方に対しては、リアクションがわからないので「楽しめていないのでは?」という不安もあります。参加者全員が楽しめる環境にしていくための施策を考えることがこれからの課題ですね。

石出 : まずは自分自身がコミュニティに対しての理解をどう深めていくか、またどのように社内的に理解してもらえるかという部分に難しさを感じました。

ただ、運営が始まった中で分かったのは、羽田空港を好きでいてくれる方々が想像以上に多いということですね。そこで、ユーザーの皆さまから学ばせていただくことが多いです。

どのようにコミュニティを活性化するのか、どのような人に参加してもらえばいいのか、といった知見がなかったので、御社と協力しながら少しずつ羽田空港らしいコミュニティを作り上げています。

藤田 : 私は現在の部署に配属されて間もないですが、このコミュニティはまだ成長段階であり、もっと活性化できる伸びしろがあると感じています。

また、数あるSNSの中で「なぜこの『羽田倶楽部』で投稿したいのか」と思っていただけるような環境づくりも重要だと感じます。その点で、投稿がカテゴリー分けされていたり、活動に応じてスコアが貯まる仕組みがとても良いですね。

今後は、羽田空港が好きな方はもちろん、飛行機が好き、旅行が好きという方にもこのコミュニティに参加していただきたいと思っています。


具体的な施策 : オフラインイベントやゲーミフィケーションを掛け合わせて

ーファンの皆さまと交流する中で、具体的にどのような施策を実施されてきたのでしょうか。

中澤 : 羽田俱楽部では、お客さまとの対話を軸に施策を企画してきました。企業側から一方的に魅力を伝えても宣伝だと受け取られがちですが、空港を隅々まで知り尽くしているファンの方々の発信は、他の人々の行動を変える力になります。そうしたユーザー同士のコミュニケーションの好循環のためにも、オンラインだけでなくリアルの接点は重要だと考えました。

以前、あるインタビューで、お客さまがインセンティブがないにもかかわらず、羽田空港までお越しいただき、熱心に語ってくださったことがありました。そこで、ファンの方々にとっては「自分が好きな場所を良くするために参加できること」自体に価値を感じていただけると気づきました。

そうした体験を提供すること自体が価値であり、それはゲーミフィケーションにも繋がると考えていたところ、御社が「プロジェクト機能」(*2)を開発してくださいました。我々が提供する一つひとつの企画が、お客さまにとっては「参加する権利」となり、大きな価値を持つ可能性がある。

このプロジェクト機能を活用し、羽田倶楽部ファンミートアップと銘打ち、6月にコミュニティユーザーの皆さんと直接お話する機会を持つことができました。

*2 プロジェクト機能は、コミュニティで貯めたスコアを使って投票し、プロジェクトが成立したら条件に応じて特典を受け取れる、クラウドファンディングのような応援体験を形にしたリワード管理機能です。

石出 : 基本的なところではありますが、投稿のピックアップ機能(*3)や運営からのコメントの数と質にこだわっています。

ただ、現場の担当者だけでは多くのリソースを割けないこともあります。コミュニティの特徴やメリットを関連部署に理解してもらい、いかに協力してもらえる体制を築けるかというところに取り組んでいます。

*3 ピックアップ投稿はユーザー投稿に、運営側がコメントをつける形でピックアップすることにより、トップページに固定表示されコミュニティ参加者全員にメールが届く機能です。

藤田 : 日々の投稿を通じたコミュニケーションを大切にしています。

自分自身、積極的にSNSで発信するタイプではなかったんですが、担当になってからはコミュニティの投稿をチェックするのが日課になりました。「こんなところを好きでいてくれているんだ」「羽田空港のここが注目されているんだ」という発見が毎日あり、それが私自身の楽しみにもなっています。

今後は、運営側として「こういう情報もありますよ」といったプラスアルファの情報をコメントでお返ししたり、公式の立場だからこそできる迅速な情報提供を、より一層意識して取り組んでいきたいと考えています。

 

 


導入後の成果 : 楽しみ方を知って、羽田空港が目的地になった

ー 今回コミュニティを導入したことで、どのような成果が得られましたか。

中澤 : まず、クローズドで運営しているにもかかわらず、参加者数が450名を超えたことは大きな成果です。そして、それ以上に投稿の質が高い。社員もなかなか知らない新しいお店の商品情報など、ファンの皆さんがリアルタイムで発信してくださるんです。これは本当に大きな価値だと感じています。

また、お客さまの「行動変容」にも繋がりました。

先日開催したオフラインイベント(「羽田倶楽部ファンミートアップ」)で、ある参加者の方が「このコミュニティに参加して空港の楽しみ方を知りました。今までは羽田空港で食事をしたことも、ショッピングをしたこともなかったのですが、今日初めてお菓子を買ってみました」と話してくださいました。

これまで空港を単なる通過点としていた方の認識が「楽しむための場所」に変わった。このような方が一人いらっしゃるということは、潜在的にはもっと多くの方が変わる可能性があるということですよね。今後はこうした成果を可視化し、社内で共有していきたいと思います。

石出 : やはり、現在多くの方が積極的にコミュニティに参加してくださっていること、これは単純に大きな成果だと思います。

また、プロジェクト機能を使ってグッズとオフラインイベントを企画しましたが、お客さまから実際に有難いお言葉をいただけることが本当に貴重です。自分たちが提供している場で、お客さまに楽しんでいただけているという事実を身をもって知ることができました。この取り組みの延長線上で、より多くの人に価値を提供していける可能性を感じています。

藤田 : 運営面では、双方向のコミュニケーションが生まれているという手応えがあります。お客さまの投稿に対して私たちがコメントをお返しすると、実際にその場所を訪れて「行ってみました」と投稿してくださることもあります。

羽田空港を本当に好きな方々と双方向のやりとりができている点に、このコミュニティの存在意義と魅力を感じています。オフラインイベントは、担当になった初日の開催だったのですが、本当に熱量の高い方々が参加してくださり、このイベントのために地方から来てくださった方もいて驚きました。こういった小さな手応えとお客さまとの絆を着実に積み上げていきたいです。


今後の展望 : 「羽田空港をもっと好きになる」体験の連鎖を広げたい

ー今後、このコミュニティをどのように育てていきたいとお考えですか。

中澤 : 私たちの基本理念は「公共性と企業性の調和」です。お客さまの利益と企業の利益は両立できると考えており、そのためにはお客さまにいかに空港を楽しんでいただくかが重要になります。

企業の役割は「お客さまにとっての価値はなにか」を提案することですが、それを最終的に「価値」にするのはお客さま自身です。このコミュニティでは、お客さまの忖度のない本音を聞けることに大きなメリットがあると感じています。

将来的には、コミュニティ参加者の全ての人が欲しい情報にアクセスできて、空港の未来のあり方を一緒に創り上げていくことが理想です。

石出 : まずはお客さまとのコミュニケーションを深め、羽田空港への「愛着」を持ってくださる方を一人でも多く増やしていきたいです。

そのため、このコミュニティが、参加することで新しい空港の魅力を発見し、自然と愛着を育める場になればと思っています。そうした場づくりのために、投稿を盛り上げたり、ちょっとワクワクするようなプロジェクトをこれからも続けていきます。

また、企業目線では、コミュニティで生まれる価値ある情報を、コミュニティ外のタッチポイントでも活用し、より多くのお客さまに知っていただくことも重要です。同じユーザーの立場からの情報は、我々が発信するよりも響きやすく、実際の行動変容に繋がり、最終的にはビジネスとしての成果にも繋がっていくはずです。この両軸をうまく回していきたいと考えています。

藤田 : 羽田空港の年間旅客数は約8,700万人にのぼります。その大きな規模を背景に、このコミュニティを「起爆剤」にしていきたいです。

空港を利用される方の中には、空港が好きな方もいれば、飛行機が苦手な方、移動の手段としか捉えていない方もいらっしゃいます。

そうした方々に対して、コミュニティの皆さまや投稿を通じて「羽田空港にはこんな魅力があるんだよ」「私の『好き』を皆さんも体験してみてください」と伝えていくことで、一人でも多くの方の認識をプラスに変えていくことが非常に大切だと考えています。

運営側として、一人でも多くの方のお役に立てるよう、自分の好きな羽田空港を他の人にももっと好きになってもらえるよう、今後も頑張っていきたいです。

ーこのコミュニティを今後どう拡大していくかについてですが、参加者数のボリュームを増やすことについてはどうお考えですか?

石出 : もともと、コミュニティの適正な規模感がどれくらいなのか、正直なところ検討もつきませんでした。

ですから、規模よりも「質」が重要だと考えています。どれだけ人数が増えても、投稿の内容や数が伴わなければ、コミュニティは活性化しません。ですから、人数に大きくこだわる必要はないと、最近特に感じています。

ただ、愛着を育てる場として、またコミュニティ内の資産を外部に活かしていくという目的を達成するためには、ある程度の規模感は必要です。その適正な規模感を、これから導き出していければと考えています。

現状では比較的ミドル世代以上の認知度が高いのですが、将来的には若い方々やお子さんたちにも、小さい頃から空港を楽しい場所だと知ってもらうことも重要です。そういった方々とも一緒に何かできるようなコミュニティにしていきたいです。

藤田 : 私自身も同様で、爆発的に参加者の数を増やしたいかと問われれば、必ずしもそうではないと思っています。

そうしたマス向けの役割は他のSNSが担えるので、このコミュニティ自体は本当に「好きな人」のための場所であるべきだと考えています

ただ、その「好き」を他の大多数にどう広げていくかという点で、このコミュニティは起爆剤的な役割を果たすと思いますが、現状の参加者の属性にはまだ少し偏りが見受けられます。空港という公共の場だからこそ、年代や利用目的を問わず、さまざまな方に参加していただきたいと思っています。

そして、空港に対してまだ特別な感情を持っていない方々の心を、少しでもプラスに変えていくために、このコミュニティに参加していただいている皆さんのお力を借りながら、今後もさまざまな取り組みを進めていきたいと考えています。


番外編 : 実装間近!アクションスコアで行動のハードルを下げる

ー最後にひとつ、まもなく実装予定の新機能のご紹介をさせてください。

中澤 : はい。どんな新機能ですか?

ー弊社ではAIを活用した『アクションスコア』という概念を導入予定です。

これは、ユーザーの自発的な行動をAI技術を使って数値化する機能です。

「企業がユーザーに望む行動」を設定し、ユーザーがその行動に近いアクションをするほど、高いスコアが記録されます

減点方式ではなく、あくまで加点方式で、企業とユーザー双方にとって望ましい投稿を増やす目的で開発しました。

また、投稿時のカテゴリ間違いを事前に防いだり、投稿を迷っているユーザーをアシストする効果もあります。今後の羽田俱楽部の活性化にも役立てていただけるかと思いますが、いかがでしょうか。

中澤 : なるほど。具体的に見てみないとわからないところはありますが、投稿をアシストする機能は必要だと感じますね。それに加えて、全てのユーザーが欲しい情報にアクセスできているかという課題感もあるので、そこへの応用も考えられますね。

ー弊社内で実施したテストでは、アクションスコア導入後に、コミュニティ参加の行動に有意な変化が見られました。羽田空港内でのショップやレストランへの訪問にも繋げられるのではないかと考えています。

中澤 : 非常に期待しています。

ー本日は、貴重なお話をありがとうございました。



羽田倶楽部は、潜在的ファンをコミュニティで可視化することにより、お客さまとの共創関係を築いています。

コミュニティ運営を次のステージへと進化させるヒントを、TieUpsがご提案します。